田附 勝『ママ』/写真集/射的文庫
すべての人間には「ママ」がいる。木村伊兵衛賞受賞の写真家による、初の私小説的作品集。
田附 勝『ママ』/写真集/射的文庫
『ママ』
- ●仕様
- 発行:2025年11月30日 判型:A5変形 本文:64 頁袋とじ(128枚綴じ)/6頁方観音貼り 製本:PO寒冷紗巻き/縦入れスリーブ(活版印刷) 著者:田附 勝 発行所:株式会社お祭り法人射的(射的文庫) アートデレクション &デザイン:吉田昌平(白い立体) 編集:射的文庫 編集協力:松本知己(T&M Projects) 翻訳:レイマン・アウ
- ●購入特典
- キザシ限定特典『ママ』特製ポストカード(1枚/絵柄はお任せください)、ステッカーをプレゼント
- ●お届け
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田附 勝
たつき・まさる / 1974年、富山県生まれ。電飾を施したトラックとそのドライバーたちを9年に渡り撮影した写真集『DECOTORA』を2007年に発表。東北の地を足繁く訪ね、自然への畏敬とともにある営みを撮り続けた作品集『東北』(2011年)で、第37回木村伊兵衛写真賞を受賞 。震災後の鹿猟師を捉えた『その血はまだ赤いのか?』そして『「おわり。」』、さらには暗闇に佇む鹿を写した『KURAGARI』を刊行。2016年には八戸で漁師を追った『魚人』、近年は発掘当時の新聞紙に包まれ博物館などに収められた縄文土器片を撮影し、折り重なる時間と空間を写し出した『KAKERA』を2020年に発表。
製品概要
- システム商品コード
- 000000000212
- 独自商品コード
- SHAT201
- 製造元
- お祭り法人射的
アートディレクション&デザイン/吉田昌平
田附さんとの出会いは、もう17年ほど前の撮影現場。まっすぐに写真と向き合う姿とその佇まい、そして写真の強さに心を奪われたことを今でも覚えています。
そのとき、「いつか写真集のデザインをやらせてください!頑張ります!」と口にしたことも。
それから会うたびに「いつやらせてくれるんですか?」と僕が言い、「まだまだだなぁ」と田附さんが返す──そんなやりとりが、いつしか恒例の挨拶に。
普段の仕事や作品のことを、田附さんが静かに見ていてくれていることも知っていたので、その「まだまだだなぁ」の一言で、自分の今の力を感じ取りながら、いつか声をかけてもらえるようにと。あの言葉は、僕が続けてこられたちょっとした支えでもありました。
そして今回、声をかけてもらえて、やっと同じスタートラインに立てたような気がしています。ちょっと遅かったかな… でもこんな自分なので、背伸びせず、今の自分にできることを丁寧にやろうと心に決めて取りかかった写真集です。ぜひ手に取ってみてください。
写真は、あいかわらずの田附勝です。
Shohei Yoshida/1985年 広島生まれ。紙や本を主な素材としたコラージュ作品を数多く制作発表する。その他に「白い立体」としてエディトリアルを中心としたデザイン、アートディレクションを担当。作品集に『KASABUTA』(WALL/2013)、『Shinjuku Collage』(numabooks/2017)、『Trans-Siberian Railway』(Shiroi Rittai/2021)がある。
『ママ』発売に寄せて/発行人 種岡桂子(株式会社 お祭り法人 射的)
約2年前に自社事業「くらしごと倶楽部(旧くらしごとユニオン)」を立ち上げ、その活動の中で田附勝さんと出逢いました。出逢った当初、時代背景や家族構成など近いこともあり、またケースは違えど母親が病気になり変わってゆくその様子を家族として関わるという経験を通し、お互いの想いや意見を率直に聞き話すことで、深く理解や共感が生まれてゆきました。
田附さんの正直な姿勢と生み出す力に触れてみると、田附さんの活動そのものに自分の在り方を託してみたいという思いが強くなり、彼の作品を通して自分自身の生きた証を残したいという強烈な想いにかられ、その思いを正直に伝えたところから、この作品集作りの具体的なプランが動き出しました。
社会構造や家族と兄妹の関係、愛、苦しみ、悲しみ、怒りなど何度も語り合うことで、田附勝さんの全てをさらけ出し葛藤し、それでもまた向き合い変容してゆく姿は、様々な人の人生のどこかに大きな共振を起こさせるのではないかと感じています。
この作品集は、最初に写真を流れのまま見てみる、その流れで文章をそっと声に出して読んでみる、その後またゆっくりと写真の細部まで見てみると、紙の柔らかさや質感、本のつくりに触れた感覚そのものが、子供時代の心の動きや、母から感じた感情など、皆さんの内側にある何かを刺激して、その当時に戻り自分で自分を手当てする、そんな体験に繋がってゆくのではないかと思っています。
「ママ」を手に取ってくださるすべての皆さんへ、心から感謝しています。
射的文庫
<射的文庫>とは、ローカルを拠点にクリエイティブな暮らしと働き方で、会員みんなとオモシロくつながり、HAPPY・HAPPYで豊かなめぐりを起こすコミュニティーサービス、<くらしごとユニオン>から生まれた出版レーベルです。一人ひとりそれぞれ違う“ステキ”な個性を、ただただ推し活のように押し出したい一心で、全国流通の書籍はもとより、リトルパブリッシング的な作品集から絵本やエッセイまで、良い意味で縛られることなく節操なく“人と想い”をどんどこ押し出します。出版そのものが素晴らしい未来作りになりえると、その可能性に大いに期待して、「本」という古いようで私たちにとっては新しいメディアとしての表現が、ここから始まります。
*キザシ購入特典として『ママ』特製ポストカード(1枚/絵柄はお任せください)と、発売記念のステッカーをプレゼントいたします*
ラヂオ・ママ
2026年5月の母の日に掛けて、<射的文庫>のPodcast<射的文庫ラヂオ>では、作家の田附さんをホストに、森岡由利子さん(陶芸家)、志賀理江子さん(写真家)、村上由鶴さん(写真研究者)、島崎奈央さん(『暮しの手帖』編集長)、奥脇嵩大さん(青森県立美術館 学芸員)などをお迎えしての対談放送や、書店などでのトークイベントを予定しています。詳しい日程は、こちらからご覧ください。
2025.11.30<射的文庫ラヂオ/ラヂオ・ママシリーズ>を公開しました。著者の田附勝さん、装丁デザインの吉田昌平さん、発行人 種岡桂子を交え『ママ』誕生への 想いを語ります。
田附 勝『ママ』/写真集/射的文庫
「なぜパッチワークを50年以上も続けてこられたのか、聞けないまま母は亡くなってしまった」 作者が育った家には、母親がつくったパッチワークがあふれていた。当時は古布を再利用する日常的な文化もあり、パッチワークは家の中で楽しめる母親たちの趣味として広く親しまれていた。時間に余裕が生まれた時代でもあり、海外文化の影響もあり、ある種の「幸せ」や「平穏」を象徴するようなものだったのかもしれない。しかしながら、作者の暮らしの中には「あいつ」による家庭内暴力があり、離婚から再婚と、一般的な「幸せな家庭」とは異なる日常があった。 母が病に襲われた知らせを受け、看病や介護、そして最期の別れに至る1年の間、作者がしばしば訪れた母親の暮らす家は、昔と変わらず、母が作ったパッチワークで彩られていた。どんな想いでパッチワークを続けてきたのだろうか。何を繋ぎ、縫い留めようとしたのか。声にならないものは、どこかにたどり着いたのだろうか。作者の全身に、複雑に絡み合った思いが疾走した。 『DECOTORA』や『東北』、『KAKERA』などの著作で独自の視点で撮り続けてきた作者が、本書のテーマとして初めて自らの家族と向き合うことになった。母の人生そのものとも言えるパッチワークを撮り下ろした、私小説的な作品集である。それでも、すべての人が「ママ」の存在に改めて気づくことになるだろう。